橋梁関連製品・工法
支圧板方式鋼ポータルラーメン橋
世界初の新形式橋梁
近年、高い耐久性と耐震性を有する鋼ポータルラーメン橋の採用が増加しています。
しかし、橋台背面の剛結部基部に損傷が生じた場合、損傷発見及び復旧が難しい点、剛結部コンクリートの施工における配筋の過密やコンクリートの充填性に起因する品質確保の難しさなど、いくつかの課題があります。
そこで、東日本高速道路(株)、大阪市立大学、高田機工(株)は、これらの課題を解決する全く新しい支圧板方式による鋼ポータルラーメン橋を研究・開発いたしました。
●従来ポータルラーメンにおける剛結部の課題
橋台背面の損傷発見及び復旧が難しい点、剛結部における配筋の過密やコンクリートの充填性に起因する品質確保の難しさなどが課題
(a)埋込桁境界部のコンクリートひび割れ
(b)橋台背面のひび割れ
(c)剛結部の複雑な配筋・コンクリート充填性の悪さ、煩雑なジベル配置
●支圧板方式鋼ポータルラーメン橋の開発目的
- 早期に損傷を発見できる
- 損傷が生じても緊急車両の通行を確保
- 応急復旧性能が高い(PC床版と橋台基部を損傷させない)
- コンクリートの充填性向上
剛結部頂部で損傷させる
●支圧板方式鋼ポータルラーメン橋の構造
●剛結部比較
●支圧板方式を用いた新しい剛結部構造の復旧性
地震が多発する我が国においては、復旧性と冗長性を有した構造が望まれます。
提案構造は床版上面での破壊を想定し、ベントで仮受け後、橋台前面のコンクリートをはつり、鉄筋とコンクリートを復旧することで迅速な復旧ができる構造となっています。
●構造実験の概要
構造実験は、試験機の能力等を勘案し、実橋の4分の1スケールで試験体を設計し、全体構造系の片側を抽出した片持ち梁への荷重載荷を考慮する。加力装置は、高田機工技術研究所の載荷フレームを用いて100tアクチュエーターにて載荷する。
載荷パターンは、変位制御による1方向の単調載荷として設計荷重、降伏荷重など載荷途中の挙動を確認する。
(a)試験設備全景
(b)荷重載荷システム
●支圧板方式の終局時破壊挙動の確認
桁埋込方式と支圧板方式の最大荷重は、鋼材降伏荷重以上を有し、許容荷重に対してどちらも2.5倍の耐力を有する。
支圧板方式は最大荷重到達後、一時的に耐力低下を起こすが、橋台に埋め込まれるPBLが効果を発揮し,靱性のある抵抗を示す。
橋台ひび割れ荷重は1.15倍の耐力を有する。
●実験結果
1.桁埋込方式は、早期に橋台背面側にクラックが発生しやすいことが判明した。
⇒土中に埋まる橋台背面側の損傷は維持管理上の課題。
2.支圧板方式は、最大荷重時でも橋台背面クラックは0.2mm程度と小さい。鉄筋降伏後はPBLが、抵抗荷重以上の荷重支持能力を維持しながら、靱性的な抵抗をみせる。
⇒クラック発生が剛結部天端より、維持管理が橋面上から可能となる。
●施工実績
①鈴ヶ入橋(常磐自動車道)
- 鋼単純ポータルラーメン2主鈑桁橋
- 橋長48.0m
- 有効幅員11.3m
- 剛結先行方式
- H26年完成
- 高田機工(株)施工
■鈴ヶ入橋の施工状況写真
1)鋼桁架設完了
2)剛結部の仮支点
3)剛結部の配筋状況
4)剛結部の型枠設置状況
5)第1リフト・コンクリート充填状況
6)コンクリート仕上げ状況
7)PBL部コンクリート打設状況
8)第2リフト・コンクリート充填状況
■鈴ヶ入橋の完成状況写真
1)完成全景
2)完成剛結部
3)仮組全景
4)橋面全景
②蔵王の森橋(東北中央自動車道)
- 鋼単純ポータルラーメン3主鈑桁橋
- 橋長26.4m
- 有効幅員11.3m
- 床版先行方式
- H29年完成
- 高田機工(株)施工
③牛房谷橋(館山自動車道)
- 鋼単純ポータルラーメン箱桁橋
- 橋長62.5m
- 有効幅員10.0m
- 床版先行方式
- H29年現在施工中
- K社施工
④白田切川橋(上信越自動車道)
- 鋼単純ポータルラーメン2主鈑桁橋
- 橋長56.4m
- 有効幅員9.4m
- 床版先行方式
- H29年現在施工中
- Y社施工
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